「 長編 」一覧

娘は娘 A DAUGHTER’S A DAUGHTER  アガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット) 中村妙子 訳

娘は娘 A DAUGHTER’S A DAUGHTER  アガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット) 中村妙子 訳

1952年作品。メアリ・ウェストマコット名義5作目。単純に、娘に再婚を反対されキレた母親のオハナシではありません。母と娘の相克のハナシでもありません。これは母と娘のハナシというよりも母親アン・プレンティスが夢のなかで夢をみて、すべて夢であることに気づくオハナシです。しかしこの夢はやはり現実としか思えない本物の夢でもあります。アンの見た夢は私たちすべてが見ている夢です。

暗い抱擁 The Rose and the Yew Tree アガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット)中村多恵子 訳

暗い抱擁 The Rose and the Yew Tree アガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット)中村多恵子 訳

メアリ・ウェストマコット名義4作目。1947年。バラとイチイの樹のタイトルが象徴的な作品です。タイトルはポワロが登場するあの名作「杉の柩」を思わせ、ヒロインは後年の傑作「終わりなき夜に生まれつく」のエリーのようなどこか超然とした人物です。善悪の彼岸に達しています。奥行きがある、はっきりスゴイ小説です。

愛の重さ THE BURDEN アガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット) 中村妙子 訳

愛の重さ THE BURDEN アガサ・クリスティ(メアリ・ウェストマコット) 中村妙子 訳

1956年出版。アガサ・クリスティがメアリ・ウェストマコット名義で出した6作品の最後の小説です。カテゴリーはハーレクイン?叙情小説?いえいえ。この世を俯瞰した賢者の仮想空間でのシミュレーション小説です。「春にして君を離れ」と同じ覚醒者向け小説です。つまり万人向け恋愛小説です。

シタフォードの秘密 THE SITTAFORD MYSTERY アガサ・クリスティ 田村隆一 訳

シタフォードの秘密 THE SITTAFORD MYSTERY アガサ・クリスティ 田村隆一 訳

1931年雪深い僻村のオカルティックなミステリです。雰囲気のある情景描写は真冬に読むのにピッタリです。主人公は容疑者の恋人エミリー・トリフューシス。厳冬期のイギリスの寒村を燃える女子力を総動員して真犯人に迫ります。熱いです。エミリーにちゅうちょと迷いはゼロです。良い嫁になるのは間違いなし

なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? WAY DIDN’T THEY ASK EVANS? アガサ・クリスティ 田村隆一 訳

なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? WAY DIDN’T THEY ASK EVANS? アガサ・クリスティ 田村隆一 訳

1934年。時代を先取りしたニート、ボビィ・ジョーンズと伯爵令嬢フランキーの強運コンビの活躍を描いた冒険推理小説です。昭和九年にまったく自立する意思をもたず親がかりを決意しているボビィはそれでも元海軍軍人です。イチバンハラハラしているのは牧師のオヤジさんでしょう。なぜボビィがこうなったのか。

殺人は容易だ MURDER IS EASY アガサ・クリスティ 高橋豊 訳

殺人は容易だ MURDER IS EASY アガサ・クリスティ 高橋豊 訳

クリスティの代表作を連発していた時期の1939年度の田舎町のミステリです。同年「そして誰もいなくなった」を発表しています。物語の後半に大物警視としてバトル警視が登場します。そのおかげで純粋に元植民地警官の主人公とシンクロして当時の田舎の風景を眺めつつ推理を楽しめます。

七つの時計殺人事件 THE SEVEN DIALS MYSTERY アガサ・クリスティ 蕗沢忠枝 訳

七つの時計殺人事件 THE SEVEN DIALS MYSTERY アガサ・クリスティ 蕗沢忠枝 訳

「チムニーズ館の秘密」の事件から四年後1929年です。ふたたびチムニーズ館に事件が発生します。今回のヒロインは危険人物アイリーン・ブレント、バンドル嬢です。まわりの男たちを軽々と手玉に取りアタマを抱える父親を尻目にドンドン進みます。それはロンドン警視庁のバトルの予想を上回りました。

チムニーズ館の秘密 THE SECRET OF CHIMNEYS 高橋豊 訳

チムニーズ館の秘密 THE SECRET OF CHIMNEYS 高橋豊 訳

1925年、前年「茶色の服の男」で南アフリカの冒険譚を描いたクリスティは今度は南アフリカからイギリス本土へ男を向かわせます。舞台は外国来賓を迎える侯爵所有のチムニーズ館。ロンドン警視庁きっての慧眼の警視バトルのデビュー作です。彼は四年後のチムニーズ館「七つの時計殺人事件」でも登場します。

茶色の服の男 THE MAN IN THE BROWN SUIT アガサ・クリスティ 中村能三 訳

茶色の服の男 THE MAN IN THE BROWN SUIT アガサ・クリスティ 中村能三 訳

天涯孤独になった考古学者の娘アン・ベディングフェルドが1924年のイギリス、アフリカ行き客船、現地と活躍する冒険譚です。手持ちの武器は若さと美貌、大胆すぎる行動力、貧乏への超耐性です。どんなところでも生きていけます。変人考古学者の娘だけあってレディとしては進化の途中です。

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