ハロウィーン・パーティ HALLOWE’EN PARTY アガサ・クリスティ 中村能三訳
1969年のハロウィーン・パーティ。オリヴァ夫人の企画モノは「二度とごめんだわ」(「死者のあやまち」事件)の言葉もむなしくパーティで少女が殺されました。ポワロは18年前の別事件の友人を頼りに捜査を開始します。オリヴァ夫人がリンゴを食べられなくなりました。
1969年のハロウィーン・パーティ。オリヴァ夫人の企画モノは「二度とごめんだわ」(「死者のあやまち」事件)の言葉もむなしくパーティで少女が殺されました。ポワロは18年前の別事件の友人を頼りに捜査を開始します。オリヴァ夫人がリンゴを食べられなくなりました。
過去の人ポワロ。ああ、ヘイスティングスがいたらどれだけ私の推理に賞賛してくれることか。道行く人は誰もポワロのことを知りません。しかし引退間際のスペンス警視は担当事件を解明すべくポワロのアパートを藁をもすがる思いで訪れます。そしてオリヴァ夫人です。1951年作品。
実際に起こったイラクのクーデターからインスパイアされた作品です。イギリスの名門女子高メドウバンクを舞台に、新人体育教師の射殺体、国外に持ち出された宝石、学校経営そして諜報機関の暗躍とサスペンスフルで多彩なアイデアに満ちたミステリです。今や、引退状態のポワロは依頼人であるJC、ジュリアの叔母のオムレツの縁で出動です。1959年作品。
1923年出版です。長編三作目、「スタイルズ荘の怪事件」からポワロものでは二作目にあたります。(間にトミーとタペンスの「秘密機関」があります)今回でヘイスティングス大尉は南米に旅立つことになります。クリスティは33歳です。日本では大正時代の後期に当たります。
1932年、「青列車の秘密」事件の4年後くらいのポワロの事件です。友人のヘイスティングスがアルゼンチンから来ていて語り手になっています。クリスティは42歳でまだ若く活動的です。ポワロは引退すると言っていますが元気でヘイスティングスと丁々発止やりあっています。
ミス・マープル初の長編です。1930年のセント・メアリ・ミード。牧歌的なイギリスの田舎が舞台です。高齢者の住民達もまだ若いです。当時は皆パワーがあります。活気のある田園風景でのミステリです。ミス・マープルは一目置かれ恐れられているポジションにいるのがわかります。
1942年、「鏡は横にひび割れて」事件が起こる20年前のゴシントン・ホール出の事件です。セント・メアリ・ミードを比べて読むと面白いかも知れません。ミス・マープルも住人もまだ若いです。「牧師館の殺人」事件のグリセルダも登場します。クリスティ全盛期のミステリです。
1962年のセント・メアリ・ミードのミステリです。舞台はドリー・バントリー夫人の旧邸宅、「書斎の死体」の舞台になったゴシントン・ホールです。20年ぶりに脚光を浴びます。時代の移り変わりは牧歌的な村を容赦なく新興住宅地帯に変えていきます。非常に興味深いミステリです。
1952年作品。ゴシック調の巨大な屋敷で展開する物語です。圧倒される舞台設定の中で奇妙な人々がそれぞれの思惑と理想の実現のため不穏な空気を気づかないふりをしつつ生活しています。旧友の頼みを引き受け、彼女の妹でもありマープル自身の旧友のためストニイゲイトに赴きます。
1963年冷戦真っ只中の作品です。ミステリとエスピオナージュの一粒で二度おいしい内容です。クリスティは73歳くらいのはずですが、作品は若々しく驚嘆するばかりです。混乱気味の若手の聞き込みからポワロは対比するようにストレートに謎を解きます。おそるべし、クリスティ。