ポセイドンアドベンチャー


クリスティの作品紹介も残り僅かというところで管理人が失速してしまったので、影武者が映画の感想を紹介してみようと思います。

ポセイドンアドベンチャー 作品紹介

まずは約半世紀前のパニック物の先駆け、1972年バージョンのポセイドンアドベンチャーを視聴して感じた事を書いていきます。

大みそかの夜 ニューヨークからアテネに向かうポセイドン号はー 大惨事に見舞われ沈没した
これはその生存者たちの物語である

初っ端からネタバレの激しい映画です。
全滅エンドではないことがわかるので、バッドエンドが苦手な方でも安心して視聴する事が出来ます。
登場人物が絞られているので、誰が誰だか途中でわからなくなる心配はまず無いので人の顔を覚えるのが苦手な方にもお勧めの作品です。

昔の映画を見るとたまに、この時代にネットやスマホがあれば一発で解決するのに、と思う事がありますが、この物語には文明の利器の出る幕はありません。
必要なのはひたすら体力と勇気です。
更に半世紀後に視聴したとしても、古さを感じずに見られると思います。

主人公は牧師のスコットさん、やたらと身体能力が高いのですが、元はスポーツ選手という原作の設定があったんですね。
とにかく心も体も強くて、元はスポーツ選手だという設定を知らずに見ていた初回視聴時、どうしてこの人、こんな事が出来るんだろうとずっと気になってしまいました。

個人的な推しは、船が沈没するまではちょっと変人のように見える雑貨屋を営むマーティンさん。
彼は船が転覆した後は株がどんどん上がっていきます。
派手な活躍はしないけれど、常に冷静で弱者に寄り添う気持ちを持ち、情にも厚い。
船が転覆しているなら現状最上部になっている船艇に向かう提案をするのも彼です。

本人曰く、独身でいる理由は朝の8時に出勤して帰宅が8時、週に2回は帰宅が10時で忙しすぎて余裕が無いからというもの。

この発言時は彼は少し変わり者として描かれていて、最初に聞いた時は日本では普通の勤務時間、むしろマシな方とまで思ってしまい、単純にマーティンさんの実力不足だろうと思ってしまいました。

ブラックな日本の勤務体系思考に毒されていて、ごめんなさい、マーティンさん。

転覆そして脱出へ

さて、ここからは自分がポセイドン号に乗っていたとして、果たしてどこまで脱出の行程に付いていけるかと考えながら視聴してみました。

まずは転覆した段階で生き残れるか。
これは多分に運が絡みますので確証は持てませんが、私は恐らくかなり早いタイミングで下になってしまう天井に転がり落ちるので、案外助かりやすいのではないかと考えます。

傾いている最中なら滑り台を高速で滑り落ちるような感じになるけれど、頑張って床に固定されたテーブルや手すりにつかまっていた人ほど、力尽きた時に真っ逆さまに落下してしまい、ダメージが大きいように見えました。

ただ落下物の下敷きになる可能性もあるので、やはり最後は運任せでしょう。

でもここで生き延びないと話が続かないので、運よく大したケガもせずに助かったことにします。
次に大きなポイントは、果たして牧師様について上に向かう決断が出来るかどうかです。
これも運の要素が強くなると思います。

牧師様かマーティンさんが直接声をかけてついてこいと言ってくれたら、行くと思います。
でも多くの人が留まろうとしている中で、声をかけられる前に自分から行くと名乗り出るだけの勇気があるとは思えません。

でもここで留まる選択をしても話は進まないので、マーティンさんに誘ってもらって付いていく決断をした事にします。

パーサーが止めるのも聞かずに重いツリーを運んで立てかけるまでは多くの男性が協力してくれたのに、何故かその大半がツリーを登ることは拒みました。
アメリカ人にも長い物には巻かれろの精神があるのでしょうか。

牧師様に物申す

ここで牧師様にツッコミを入れたい点が一つ。
脱出組には4人の女性がいます。

バンドのボーカルの女性は元々ショートパンツ姿だから問題はないとして。
大晦日のパーティーでドレスアップした若い娘さんのスーザンに牧師様はスカートは引っかかるから脱ぐように指示します。

スーザンのドレスは巻きスカートで中には同色のホットパンツのようなインナーを着ているので問題はなかったのですが、ドレスの中には下着しか着用していないリンダにも夫のシャツを着てドレスは脱ぐように言います。

ですが、孫もいる年齢のローゼン夫人には言いません。
ふくよかな体型で、スカートが引っかかったら一番大変な人であるにもかかわらずです。
実際に彼女はツリーを登る時に引っかかっていました。

スカートではなくてお肉がですが。

かくゆう私も牧師様にスカートを脱げと言われない側の人間と思われるし、実際に人前で下着姿でツリーを登れと言われたら、やっぱり行くのやめますと言ってしまいそうだし、武士の情けと解釈しておきましょう。

もし脱げと言われたら、服は体に巻き付けたまま登って、上に着き次第再び着ることにします。
そしてヒラヒラした服の中には人に見られてもいいような物を身に付けることを心掛けるようにします。

こう考えると、刑事の奥さんのリンダが元娼婦という設定は、公開着替えも霰のない姿でツリー登りをするのにも抵抗が少なく見える事に対する説得力を持たせる為なのかな、とふと思いました。

最大の難関

その後の行程の中盤はそんなに苦もなく付いていけそうな気がします。
特に階段の裏側を通って上に行く場面で、消火栓のホースをロープ代わりにして上へ引き上げてもらう場面など、手すりに捕まれば自力で登れそうです。

ですが最後の難関、機関室まで水中の移動はとても出来そうにありません。
牧師様は11m程度、息を止める時間は長くて30秒と言っていましたが、障害物を避けながらの移動は困難で、体力超人の牧師様がアクシデントがある前の段階で既に39秒かかっています。

こからスムーズに行ったとしても1分は超えていると思われます。
しかも大晦日の海の水、ほぼ氷水といっていい水温と思われます。
1分も浸かっていたら心臓がやられそうです。

若くて綺麗な娘さんなら、息を止めて自分に捕まっていればいいと言ってくれる人がいるかもしれませんが、出来ればそんな迷惑もかけたくないです。
ここで一つ思うのは、果たして無理に水中を進むのが必ずしも正解とはいえないのではないかという点です。

最終的に生存者は目的地である軸路、ひっくり返ったために天辺になっている船底にたどり着いて、その場所で救助されるのですが、機関室へ泳いでたどり着いてからさほど時間が経過しているようには思えず、それまでいた場所も水没していないかもしれません。

もしかしたら救助隊が装備を整えて奥まで救助に来てくれるかもしれません。
まさか気づいてもらえずに見捨てられる事は無いと思いたいので、きっと来てくれるでしょう。

これにて無事生還!

ということにして下さい。

視聴を終え思ったこと

さて、初めてこの映画を見終えて一番強く思ったこととは。

【こういう時、太っていたら死ぬかもしれない】

制作した方の誰一人、そんなメッセージは込めていないと思われる身も蓋もないものでした。
ですがこれで一人の人間が食生活に気を使い、いざという時の脱出劇に備えて体を鍛えて健康を保てたとしたなら、人生を救う素晴らしい傑作だったと言えるのではないでしょうか。

散々茶化してしまったようですが、一発目にご紹介した事からおわかりいただけるように、大変名作です。

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