満潮に乗って TAKEN AT THE FLOOD アガサ・クリスティ 恩地 三保子 訳
戦後の混乱期イギリス。社会制度が戦前と様変わりし上流階級も労働階級とかわらず逼迫している1948年度クリスティ作品です。戦中から戦後へと急速に時計の針が進められ一族の欲望と野心が絡んだミステリです。ポワロは粛々と自分の天分を発揮して事件を解決に導きます。
ーアガサクリスティ、とその他ー
戦後の混乱期イギリス。社会制度が戦前と様変わりし上流階級も労働階級とかわらず逼迫している1948年度クリスティ作品です。戦中から戦後へと急速に時計の針が進められ一族の欲望と野心が絡んだミステリです。ポワロは粛々と自分の天分を発揮して事件を解決に導きます。
1928年出版。クリスティが38歳、自身が評価しなかったミステリとされています。カナリア諸島で書き上げられました。この年アガサ・クリスティは失踪事件の渦中の人となりました。セント・メアリ・ミードが出てくるいろんな意味で興味深いミステリです。ポワロは相変わらずです。
紀元前2000年の世界。クリスティしか考えつかない異色作です。1945年作品。眼前に展開する古代エジプト世界はめまいがしそう。まぶたに浮かぶヴィジュアルです。そして今も昔もかわらない利害が関係する家族のリアリティ。さらにアガサ・クリスティ的な奥行きある恋愛小説です。
ロンドンムカシオトナ女子ライフミステリです。ビートルズ旋風の1965年出版。老後のしあわせ指南書です。エドワード朝のたたずまいを残すバートラム・ホテルを足がかりにロンドンを駆け巡り買い物するミス・マープルの青春ミステリ。オトナ女子も食べ物もいっぱいでてきます。
アガサ・クリスティ渾身の豪華ミステリです。いくつものドラマが複合的に展開します。悠久のナイルの流れは神秘的に登場人物たちに審判をくだします。1937年のエキゾチックなミステリです。ポワロ、レイス大佐のツインキャスト、ヴィジュアル度は時代を超越しています。
ポワロもミス・マープルも出ません。しかしオリヴァ夫人が登場します。ビートニク、テディ・ボーイ、エスプレッソ、家電製品など当時のモードをとらえつつも対比してるのが黒魔術的な呪いです。しかも使用される毒物が現代を予言するような非常に怖いハナシです。1960年作品。
戦後すぐ1945年のミステリです。アガサ・クリスティのレイス大佐登場最後の事件になります。レイス大佐は60歳過ぎです。誕生日と万聖節の夜提供される飲み物はタイトルの発泡するシアン化合物。シャンパンに仕込まれた青酸カリです。プロのMI6対CIAの勝負でもあります。
過去をさかのぼる有名な1942年作品です。若い娘の将来のため16年前の事件の真相を追うポワロ。アツイです。得意のスサマジいシミュレーション能力を発揮して事件を再現します。チョコレートをすすってるヒマはありません。砲台庭園でおきた事件の真相とは。
1958年作品です。善意とはなにかを突きつけられる異色のテーマです。クリスティの家族観を垣間見ることができます。どこか春にして君を離れを思わせる内容です。対象が失われたままの行き場のない感情はどこにいくのでしょうか。アガサ・クリスティ自選10のひとつです。
アガサ・クリスティの代表作「オリエント急行の殺人」1934年の作品です。有名なリンドバーグ事件がモデルです。当時世界の注目を集めた事件でした。そのリンドバーグ事件をオリエント急行という舞台でミステリにする手腕はさすがです。アガサ・クリスティ自選10のひとつです。